【決断と結果】500万円の「免疫細胞療法」。日本での治療全記録と、主治医のリアルな反応
前回のブログの続きです。
私が暮らす国では、「前立腺がん ステージ4・グレード5」という悪性度の高いがんに対する治療は、「ホルモン治療」「抗がん剤」「放射線治療」の3つしか選択肢がないと告げられました。主治医は治験薬や海外の治療法も探してくれましたが、残念ながら私に勧められるものは見つかりませんでした。
そこで妻と話し合い、**「自分の人生がかかっているのだから、絶対に後悔しないようセカンドオピニオンを受けよう!」**と決意。医療の進んだ「日本」で受けることにしました。(※セカンドオピニオンの詳細については、次回のブログで書きます)
友人が繋いでくれた希望「NK細胞と樹状細胞」
そんな時、日本の医療機関で働く昔からの友人が、免疫細胞療法である**「NK細胞」と「樹状細胞」**の治療について教えてくれました。さらに彼は、この治療に詳しい日本の病院に相談し、私と現地の医師とのオンラインミーティングまでセッティングしてくれたのです。まさに「持つべきものは友」ですね!
事前に私の治療記録をすべて送り、1時間にも及ぶ充実したオンラインカウンセリングを受けました。
【そもそも、NK細胞・樹状細胞とは?】
NK細胞(ナチュラルキラー細胞): 全身をパトロールし、がん細胞などの「異常な細胞」を早期に見つけて単独で攻撃する、自然免疫の守護者です。(20歳頃をピークに減少し、40代以降のがん増加の一因とも言われます)
樹状細胞(じゅじょうさいぼう): 体内に侵入したがん細胞などをいち早く見つけ、その情報をT細胞に伝えて免疫システム全体を活性化させる「免疫の司令塔」です。
衝撃の治療費と、主治医の「残酷なアドバイス」
しかし、最大の壁は費用でした。 この治療は標準治療ではないため保険が一切効かず、ズバリ500万円以上という高額な費用がかかります。これまで医療保険で実質無料で治療を受けてきた私には衝撃的な金額でした。
主治医にも相談しましたが、彼は肯定も否定もせず、ただ何度もこう念を押しました。 「保険が効かず非常に高額であること。そして、効果がある可能性は低いこと」
さらに、個人的な意見としてこう言いました。 「そんな大金があるなら、治療に使うよりも、ご家族との良い思い出を作るために旅行などへ行った方が良いのではないか?」
それは間接的に「もう助かる見込みはない」と言われたも同然でした。 2023年に「余命2年」と宣告されてから、ちょうどその2年目。主治医は普段「頑張って5年、10年を目指そう!」と励ましてくれていましたが、彼の30年の経験上、現実的な私の寿命は「あと数ヶ月、長くて3年」と見立てていることがはっきりとわかりました。
いざ日本へ。2年にわたる治療フェーズ
それでも私は、生きるために治療を受ける決断をしました。 海外在住者の場合、治療プロセスは「抗がん剤の前」と「抗がん剤の後」の2つのフェーズに分けて行われます。
癌対策としては、NK細胞と樹状細胞は抗がん剤などとセットで実施することが推奨されています。
【第1フェーズ】2025年5月〜6月
抗がん剤治療が始まる前に、約1ヶ月間日本(病院近くのホテル)に滞在して治療を受けました。
プロセス:
採血・培養: 血液から細胞を採取(約4時間)し、3週間かけて培養。
1回目の投与: NK細胞と樹状細胞を同時に投与(1時間)
2回目の投与: NK細胞を投与(30分)
3回目の投与: NK細胞を投与(30分)
副作用: 事前に聞いていた通り、2回目の投与後に体がだるくなり半日ほど寝込み、薄い血尿が出ました。
帰国後の主治医の反応: 治療レポートを渡すと、なぜか彼は目を輝かせ、とてもワクワクしていました。彼自身もこの最先端治療に興味があったようです。
【第2フェーズ】2026年2月(※2025年の抗がん剤治療後)
本来は2025年秋の予定でしたが、抗がん剤のスケジュールがズレたため2026年2月に実施しました。(※再発による2度目の抗がん剤については、後日のブログで書きます)
プロセス:(※前年に採取・凍結した細胞を使うため、採血は不要。ただし培養に3週間必要)
1回目の投与: NK細胞と樹状細胞を同時に投与(1時間)
2回目の投与: NK細胞と樹状細胞を同時に投与(1時間)
3回目の投与: NK細胞を投与(30分)
副作用: 今回は全く副作用がなく、妻と買い物や温泉に行って元気に過ごせました。
帰国後の主治医の反応: 今回は去年と異なり、ワクワクした様子はありませんでした。血液検査の結果を見て、**「効果は出ていない」**と判断したようです。
免疫細胞療法の「リアルな結論」
第2フェーズを終え、私の一連の免疫細胞療法は一応の完結を迎えました。 日本の医師からは継続を勧められましたが、毎年500万円を払い続けるのは経済的に不可能ですし、効果に確信が持てない以上、現状としては積極的に続ける気持ちにはなれません。
私の主治医いわく、**「他のがんでは効果が見られるケースもあるが、前立腺がんに関しては、現状、効果があるというレポートはない。がんの種類が違えば治療法も異なる」**とのことでした。
元々、この治療は単独で行うものではなく、「抗がん剤や放射線治療と並行して実施するもの」だと日本の医師からも説明されていました。 現状、効果があったのかどうかは誰にもわかりません。もし、2026年や2027年に再びがんが活発になったら、「私の前立腺がんには効果がなかった」という結果になるのでしょう。
それでも、この治療に挑戦したことに後悔は一切ありません。 やれることはやったという納得感があります。
さて、次回のブログでは、この日本滞在中に並行して受けてきた「日本のがんセンターでのセカンドオピニオン」について詳しく書きたいと思います。どうぞお楽しみに!




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